うるしのいい所

今回は「うるし」についてのはなし。

「漆」と書いて「うるし」。
漆というものは一体何なのでしょうか。

その一、漆とは塗料である。

みなさんご存知のように、漆は主に塗料として使われています。
おそらく人類最古の塗料なのではないでしょうか。
日本では長らく中国大陸より伝わったとされてきましたが、
最近、日本の9000年前の遺跡から漆が塗られたお椀が発見されたらしく、
それによって日本で漆塗りが独自に発展してきた証拠なのかもしれないと考えられているそうです。

どこがオリジナルかという議論は横に置いておいて、
この発見で驚くことは
「漆が9000年の時を乗り越えた」ということです。

漆は紫外線に弱いので、直射日光が当たる場所では塗膜が劣化して長持ちしません。
しかし、あまり知られていないことですが、
漆は耐薬品性が非常に高く、金をも溶かす王水にも溶けませんし、
アルカリやアルコールなどにも強いため、
直射日光が当たらない場所なら、かなりの長期間変化しないのです。

一般に漆製品が割れたり、ヒビが入ったりするのは、
漆が塗られている木部が湿気や経年劣化により変形する為で、漆が劣化しているわけではありません。

そんな訳で、「漆は最古でありながら強力な塗料である」のです。

その二、漆とは接着剤である。

漆は古来より接着剤としても使われてきました。
漆芸では米粉や小麦粉と漆を混ぜることで接着力を高めて使います。
金箔を貼る際の接着剤としても使われますし、
仏像を作る際の布や木を接着するときにも使われてきました。

現在でも身近に使われている例としては「金継ぎ」です。

金継ぎは陶器の欠けや割れを修復する方法として近年では外国でも人気ですが
これも小麦粉と漆を混ぜた物を接着剤として使う方法です。

つまり「漆は現在でも使われる、人体に無害な優れた接着剤である」のです。

その三、漆とは無害である。

9000年前から現在まで、食器に使われてきた漆。
ただ単に昔の人が手に入った塗料が漆だったから使われてきたのではありません。
何より安全だったからです。
漆に毒性はありませんし、抗菌性があることが科学的に証明されています。

「漆はカブれるじゃないか」と漆製品を避ける方もいらっしゃいますが、
完全に乾いた漆はかぶれる事はありません。

現在では様々な素材で食器が作られ、様々な新しい素材で塗装されています。
人体に安全だから使われているのだと思いますが、
9000年の実績には敵わないはずです。

また漆は100%天然の素材ですのでエコであり、
漆の木を栽培することで再生可能であるとも言えます。

という訳で「漆は環境にも人にも無害である」のです。

以上、少々長くなりましたが今回は客観的に見た漆の良さについて書いてみました。
個人的には、漆の艶の深さや可能性など「漆愛」をまだまだ語りたいところですが、
それはまた別の時に。
ではまた。