次のプロジェクトは「蕾リング」。
この指輪には漆は塗られていません。

山猫堂初めての漆を使用していない商品です。
今まですべての商品に漆を施してきたのに、遂に漆を捨てたのか?
と疑問を持たれるかもしれませんが、これは実験なのです。

今回は二つのテーマに基づいた実験をしています。
その一、漆に頼らず「良い物」を作ることができるか。
山猫堂のアイデンティティでもある「漆」を使わないことで、どのような商品をつくることができるか。
ある意味「縛り」をなくすことで自由になれるのか、個性を失ってしまうのか、ということを知りたい。

その二、「売れる商品」とは何か。
「それがわかれば苦労しないよ」と思いますが、「売れる商品」とは一体どういうものなのでしょうか。
手間をとにかくかけた物が売れる商品なのでしょうか。
シンプルだけどアイデアが光る商品の方が売れることもあるのではないだろうか。
そういったことを検証する意味もあり、あえて毛色の違う商品を今回は出してみました。
この蕾リングだけで今回の実験の全てを検証できるとは思いませんが、
何事も始めてみなければわかりません。

「漆を塗らない」「手間を掛けない」
こう書くと、やる気がなくなったのか?と思われそうですが、目指す方向は全くの逆。
これからはもっと手間を掛けたいのです。
漆の勉強を始めてから10年以上経ちました。
そろそろ今の自分の全てを注いでデザインと細工が最高レベルで組み合わさった物、
代表作と言えるものを作りたいという思いがあります。
そのためには「時間と金」が必要で、それを生み出すための試行錯誤が今回の実験です。

ということで今回の蕾リングの説明を。
蕾リングのデザイナーは自然。
木々が芽吹く季節の本物の枝を型取りしました。
葉になり、花になる直前の蕾が枝の造形に温かみを加えています。
ありそうでないデザインで毎日着けられるリングです。
アジャスタブルなので小指から親指まで、女性も男性も着けていただけます。