今回は日本語で書きます。
今日は最近私が読んで、感銘と言うか危機感を覚えた本を紹介させて下さい。
「日本人は意外に日本のことを知らない」
これはずっと前から私が感じていたことです。
私は日本人ですので日本史も一通り勉強したし、
文化についても大体のことを知っていると思っていました。
でも20代でアメリカに滞在していた時に感じたことは
「日本のことをちゃんと説明できない自分」だったのです。
知った気になっていたけど、
実際は外国の人に日本の文化のことをきちんと説明できる程の知識が自分にないことに初めて気が付きました。
それで日本に帰ってきてから勉強を始めて、色々周り道をした挙句、
いつの間にか「漆芸」という伝統工芸に携わるようになってしまいました。
そんなこんなで今は日本の伝統文化を仕事にしていますので、
出来るだけ人に説明できるように勉強しているつもりなんですが、まだまだです。
最近は日本に魅せられて日本で暮らすようになった外国の方を紹介するテレビ番組がよく放送されていますが、
そういう方々の方が私よりよっぽど日本について詳しいんじゃないかと思います。
この本はそんな日本に魅せられて移住してきた外国人の一人が書いた本です。
ゴールドマン・サックスのアナリストとして来日した著者が
日本の国宝などの修理を手掛ける会社の社長に就任し、その目から日本の文化財保護の問題点を指摘する
という内容なんですが、日本人として非常に耳が痛くて歯痒い話が沢山出てきます。
特に伝統工芸に携わるものとして急所を突かれるような話も出てきて、
若干の反発も感じつつ「国外から見た日本はこういう感じなのか」と自分の視野の狭さを痛感しました。
私はこれからの伝統工芸は日本国内ではなく、
海外をメインのマーケットにしないと生き残っていけないと考えています。
そのためにはアトキンソンさんのような視点を持った人の意見を知るのは大変参考になりました。
私のような立ち位置の人にはすごく考えさせられる本だと思います。
また、日本の伝統文化に携わる方だけではなく、いろんな立場の日本人に読んでもらうことで、
日本の文化財について考えるきっかけになればいいなとも思いましたので、ここで紹介させてもらいました。
ご興味のある方は是非一読下さい。
ではまた来週。