山猫堂流、焼付け漆レシピ

 

必要なもの

・オーブン  

・漆  

オーブンはタイマーが1時間以上あるものが望ましい。  

温度も10度単位で設定できると便利。  

食品用とは兼用できないので注意、換気は必須。  

 

漆について

焼付け漆に使う漆は通常生漆が使われますが、山猫堂ではさまざまな色付けをするため、色漆を使います。  

 

顔料と漆の配合

通常の塗りでは顔料の割合は10%から50%くらいですが  

焼付け漆では顔料50%以上の方が発色がいいです。  

注意すべきは黒漆

黒漆は酸化鉄の液体を入れて化学反応で黒色にしていますが、  

この方法の黒漆は大きな曲面に塗り重ねていくと  

ひび割れて剥がれてしうことがあります。  

おそらく漆だけだと塗膜が硬くなりすぎて、  

曲面の中と外の張力の差に耐えられず剥がれてきてしまうのだと思います。  

それを防ぐ方法として、炭の粉を混ぜて黒漆を作る方法があります。  

適度に顔料が混ざっている方が柔軟性が出て剥がれないのではないかと推測しています。  

 

焼付け

いよいよ焼付け漆の具体的な方法について説明します。  

焼付け漆の場合は大体100度から250度くらいで硬化します。  

温度と時間は相関関係になってるので100度なら大体2〜3時間、  

高温になればなるほど短くなるので250度なら10分ほどで硬化します。  

高温では短い時間で硬化しますが、漆本来の色が濃く出てしまうので色漆には適していません。  

色漆の場合は低温でゆっくり硬化させると綺麗な発色が期待できます。  

私の場合は色漆の場合は110度で90分加熱しています。  

この温度と時間で表面は触れる硬さになるので塗り重ねるには十分です。  

仕上げで漆を完全硬化させる場合は再度110度で90分加熱します。  

黒漆の場合や金属粉を全体に蒔き付けた場合はそれほど温度に気をつける必要はありません。  

 

注意点

100度以上の熱をかける都合上、漆を塗る素体が熱に弱いとこの方法は使えません。木材などは変型する恐れがあります。  

焼付け漆も厚塗りすぎると縮みます。通常の塗りと同じで縮んでしまうと後始末が厄介ですので気をつけたいところです。  

しかし、焼付け漆の特徴でもある釉薬のようなツヤを出すにはある程度厚く塗った方がいいのである程度の経験が必要になります。  

また漆を塗ってから温度を上げると漆の粘度が下がって垂れやすくなります。細い線は滲んでしまう場合があるので注意が必要です。  

これが漆と顔料を1:1以上にする理由です。  

塗りにくくなりますが、発色と垂れや縮み防止のために色漆は固めに作ります。  

もしくは細い線などの場合は湿り気を与えてある程度硬化させてから加熱をするという方法もあります。  

漆は通常の湿度をかけて硬化させるということもできるので、全ての工程で加熱をする必要性はありません。自分の作業に合った方法を使い分けてください。  

 

以上が山猫堂の焼付け漆の方法です。  

あくまでも「漆貴 山猫堂ではこうやっている」というだけのことで、「焼付け漆の秘伝」でもなんでもありません。  

色々な方法があると思います。  

参考の一つにしていただければ幸いです。  

もしご質問等ございましたらお気軽にご連絡ください。  

 

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